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後継者・幹部育成

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事業承継。そのとき経営理念は意味があるのか

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2021.07.20

経営理念というのは、いたるところで目に触れる言葉のひとつです。「経営理念が大事」というのは誰しも同意するものですが「なぜ大事なのか」と質問されると即答できないケースもあります。意味がわからないけど大事。なんとも捉えどころのないものですね。こういった抽象的で曖昧なものは、ときに後継者からすれば「なんとも古くさいもの。飾りのようなもの」という印象を受けることになります。そもそも「経営理念で売上があがった」ということを目にすることがないために後継者には重要性が伝わらないのでしょう。僕自身を振り返ってみても「経営理念なんてうまくいったひとの自己満足でしょ」と斜に構えていた時期もありました。とくに開業したころは、そういった傾向が強かったように感じます。

後継者の方から「経営理念をどのようにするか悩んでいる」と相談を受けることがありますが「まだ不要でしょ」と回答することもあります。それはなぜか。つまるところ経営理念がなぜ重要なのか理解できない状況で経営理念を抽象的にとらえても意味がないからです。経営理念というのは、理想とはまた違ったものであって自分の経験からにじみでてくるようなものであるべきです。いかに立派な表現であったとしても自分の経験から離れたものであっては、それはたんなる読み物でしかありません。たいてい自己満足で終わってしまうわけです。そもそも経営理念が必要とされるのは、それが最後の判断要素になるからです。経営をしていれば究極の判断を強いられるときが必ずでてきます。コロナによる売上の激減などさいたるものでしょう。まさかという名の坂はあるということです。そういう状況下では過去の事例に基づく判断というのはまったく役に立たないのみならずかえって判断のスピードを遅らせるものです。先の見えない状況下によって判断を下すのは、自分のなかにある哲学であり理念。まさに「なぜ自分は経営をするのか」という経営理念です。経営理念は、経営者のみに求められるものではありません。企業において勤務する全てのひとが判断のよりどころにするべきものでありリーダーシップの根幹をなすといえるでしょう。優秀な組織を見ていると仮に経営者が病気などで前線を離れても他のスタッフがみごとに采配を振っています。トップがいなくても滞りなく回る企業こそ理想の企業。逆にまったくだめなのはトップがいなくなると途端に何も決まらない組織です。こういう企業は、危機においても呆然とするだけであまりにも弱いです。リーダーシップが欠けているわけです。

VUCAの時代と呼ばれる現代においては、絶対的な判断指針というものを見いだすのは不可能です。「こうすればいい」という正解がないからこそ成功する人と失敗する人がでてきます。答えがないからといって不安になって身動き取れないと判断が遅れたこと自体がリスクとして眼前に広がってくることもあります。後継者にとっての決定力の重要性は、「社長、その事業承継のプランでは、会社がつぶれます」のなかで詳細に語っているのでご覧になってください。なぜ強調したかと言えば、決定力がない後継者だとあっというまに企業がこけてしまうからです。なんというか判断に自信がないことがじわじわ周囲に感染するわけです。それが蔓延して組織が瓦解するというイメージですね。さりとて後継者になりたてのときにいきなり自分なりの価値観なりをもてというのも無理な話です。失敗をしたうえでなければオリジナルなものをうみだすことができません。そこでポイントになるのが先代の経営理念を徹底的にパクるということです。ないならないなりにつくるということです。先代の経営理念は、実際の経営ベースで形成されているので浮世離れしたものになりません。具体的な判断基準になりやすいと言えるでしょう。このとき大事なのはたんに経営理念の字面を追っても意味がないということです。大事なことは、「そういった理念を生みだしたできごと」を共有することです。それはある意味で疑似体験するようなもの。小説と同じですね。先代の経験を自分事のように理解することができてはじめて経営理念は事業の推進力になります。

経営理念を飾りで終わらせない。そのためにまずは先代に「なぜこれなのか」とじっくり聞いてみましょう。

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