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介護離職という「苦労の見えにくさ」

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.06.22

最近、あらためて「介護離職」という言葉の重たさについて考える機会がありました。

これまで福祉や労働の分野で、さまざまな案件に携わってきましたが、介護を理由に離職せざるを得ないという状況は、やはり胸に引っかかります。仕事を辞めることが悪いわけではない。けれども、望まぬかたちでその決断に追い込まれてしまう。その背景には、たくさんの「折り合いのつかない現実」があるように思います。

介護をする家族の立場としては、「自分しかいない」という思いが強くなるのは当然です。かといって、会社としても「仕事を続けてほしい」という本音はあります。理解しようとする姿勢はあるけれど、「何をもって理解するのか」がまだあいまいなまま。結局、介護というのは、やってみないとその重さが分からない部分があります。

私がセミナーなどで経営者の方にお話しするのは、「これからの時代、従業員の福祉や介護は、経営の一部として考える必要がありますよ」ということです。社員の家族のことは社員個人の問題だからと切り離してしまえば、それは一時的にはラクかもしれません。でも、結局はその姿勢が、働く人の離脱や職場の空洞化を招くのではないでしょうか。

家族を大切にしたいという気持ちは誰にでもあります。仕事と家族のどちらかを選ばざるを得ないとなれば、人はどうしたって家族を選ぶものです。そうならないためには、「どちらか」ではなく、「どちらも」の道を探るしかありません。

介護休暇の制度を整えることも、もちろん意味はあります。ただ、それが問題の根本解決になるかといえば、正直、限界があります。数日間の休みで終わる介護なんて、現実にはそうそうありませんから。

もっと根本的に必要なのは、「介護は本人が物理的に担うしかない」という前提から自由になることです。そのためには、まず経営者自身が、介護に関する正しい知識を持つことが大切です。そして、社員にも事前に「こういう支援がありますよ」「こういうサービスを使えば、仕事と両立も可能ですよ」といった情報を伝えておく。その仕組みや時間を設けることが、本当の意味での「理解」ではないでしょうか。

介護に直面してから考えるのでは遅いのです。だからこそ、普段から少しずつ「もしも」に備える文化が職場にあると、社員も安心して働き続けられるのではないかと思います。

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