
僕なりの原点から
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.10.01
このたび、日経トップリーダー10月号で約20ページにわたる特集を組んでいただきました。テーマは、僕がこれまで弁護士として関わってきた労使問題。日経のような大きな媒体で、ここまでしっかりと取り上げていただけるとは、正直なところ駆け出しの頃には想像もしませんでした。とてもありがたいことだと感じています。
記事の中では、これまであまり外には話してこなかった自分自身の原点や、どうして僕が労働事件に関わるようになったのかといった経緯も触れています。普段は事件の話や解決の方法ばかり語ることが多いですが、今回は僕自身の思い出や経験を交えて書かれた、ちょっと珍しい記事になっています。ベースにあるのは僕の失敗談ですね。
記事のなかでは過分な評価もいただいておりますが、根本的に僕は争いごとが好きなタイプではありません。むしろ人と人との間で起きる「ボタンの掛け違い」を直していくことに関心があります。ほんの少しの誤解や行き違いで、職場や家族の空気が重くなってしまうのは残念なことです。だったら、「このボタン、ちょっとずれていませんか?」と声をかけて整えていく方がずっといい。力で押し切るのではなく、できるだけソフトランディングで解決の形をつくっていく。そういう姿勢が僕の弁護士としてのスタンスなんです。
弁護士というと、白黒をはっきりつけて勝ち負けを競う存在だと思われがちです。もちろん裁判の世界では判決が出れば勝敗は決まります。ただ、実際の依頼者の人生や職場の状況は、それだけでは片づかないことが多い。大切なのは、双方にとって「これなら先に進める」と思える着地点を探し当てることだと考えています。白か黒かの二択ではなく、グラデーションの中にある落ち着き先を見つけていく。それこそが僕の仕事だし、弁護士だからこそ示せる道筋ではないでしょうか。
今回の記事では、そうした「問題解決の姿勢」をベースにしながら、これからの士業のあり方や、経営者と専門家の関わり方についても触れています。経営を担う立場の方々にとって、問題社員や労使トラブルは避けて通れない課題です。でも、その向き合い方ひとつで組織の雰囲気は大きく変わります。僕自身、数多くの現場で「人の問題」に向き合ってきましたが、結局のところ大切なのは人へのまなざしだと痛感しています。冷静で公平であると同時に、相手の背景や思いを理解すること。強さと優しさをどう両立させるか。その葛藤の中にこそ、弁護士としての存在意義があるのだと思います。
日経トップリーダーは一般書店で販売されていないので、定期購読されている方でないと目に触れる機会は少ないかもしれません。それでも、もしお手元に届く機会があれば、ぜひご覧いただけると嬉しいです。記事全体を通じて、僕がこれまでどんな思いで事件に取り組んできたのか、またこれからどう社会と関わっていきたいのかを知っていただけると思います。
人は誰しも、仕事や生活の中で思いもよらない行き違いに遭遇します。そのときに「この問題をどう整えていけばいいのか」と悩むのは当然のことです。僕がこの記事を通じて伝えたいのは、そんなときに無理に相手を打ち負かそうとしなくてもいいということ。大事なのは、お互いが次の一歩を踏み出せる状態をつくることだと思います。そこにこそ、弁護士として寄り添う意味がある。記事を読んでくださった方に、そんな想いが少しでも伝われば嬉しいですね。
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