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解雇・退職

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中小企業で労働問題が生じる本当の原因とは

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.01.23

社長にとって労働問題は悩みのつきない問題です。トラブル回避のポイントはいろいろありますが「なぜおきてしまうのか」の原因を把握しないと解決にはなりません。そして本当の原因は、「社員」ではなくて「採用についての社長の姿勢」にあります。採用を見直すことでぐっと労働問題の可能性を抑えることができます。

労働問題の99%は採用のミス

 山口県の有効求人倍率は、約1.62倍で推移しています。耳にすることのある有効求人倍率とは、ざっくり言えばハローワークで仕事を探すひとりに対して何人分の求人があるかを示す指標です。仕事を探す100名に対して162社が「我が社」へと手を挙げているという状況なわけです。リーマンショックのあった2009年の倍率が約0.47ですから「えー」という印象を受けるでしょう。「就職超氷河期」といわれた時期が懐かしく感じます。まだ10年程度なんですけどね。。

 こういった圧倒的な人手不足の影響は、中小企業にダイレクトに影響してきます。「ちょっとずつ人員を増やしていけばいい」と考えていたら「まったく募集がない」という状態になっています。せっかく売上を拡大できる状況なのに人手不足からチャンスを活用できていないと地団駄を踏んでいる社長は少なくありません。あるいは現場から「早く誰か採用してください。休みたくても休めません」とプレッシャーをかけられている社長もいるでしょう。結果として「来てくれるだけでありがたい」となってしまい見極めもしないまま採用してしまいがちです。そして数ヶ月経過してみると「あの人とは働けない」と他の社員から苦情がやってくるケースがよくあります。はっきりいって労働問題の99%は社長の採用のミスです。

試用期間だから辞めてもらえるわけではない

 企業では、就業規則において試用期間を設定しているところが多いでしょう。「試用期間に見極めをしてあわないなら辞めてもらおう」と考えている人がいれば、基本的な考え方が間違っています。試用期間といえども労働契約はすでに締結されているわけですから企業から一方的に「試用期間満了で辞めてもらいます」とできるわけではありません。「辞めてください」「わかりました」と展開すればいいのですがあくまで社員の同意が必要です。試用期間は、雇用期間のある労働契約ではないために期間が満了したら当然に終了というわけでありません。

 社員が「辞めません」となったらどうなるでしょう。会社としては、やはり社員を雇用するのが難しいとなれば解雇ということになります。解雇といっても「思ったほど仕事ができない」「社員との協調性があまりよくない」といった曖昧な理由ではできません。一般的に試用期間中の解雇は本採用後の解雇よりも認められやすいと言われますがあくまで相対的なものです。社長の印象だけで解雇することはできないと考えていた方が無難です。現実的な解決としては、いくらかでも退職金を支払って退職してもらうことが安全です。

社長は、採用にこだわらないと

 中小企業にとっては、人こそすべてといっても過言ではないです。安易に採用して問題社員がでてしまうと優秀な社員から「やってられない」と退職していきます。空前の売り手市場ですから転職も容易にすることができます。「会社に恩義がないのか」と憤慨する社長もいますが人間関係のトラブルのある職場で誰も働きたいとは考えません。やっぱり人間関係のトラブルって言いようのない負担になります。

 企業は、いったん採用すると労働問題に関して打てる手立てが著しく制限されてしまいます。採用は企業に認められた数少ない裁量のある分野です。だからこそ社長はとことん採用にこだわらないといけない。「忙しいから部下に丸投げ」では企業にとって必要な人材を見極めることなどできません。

 こういった採用においては、社長が会社の価値観をしっかり言葉で表現できるかが大事です。「自分の会社としてなにを大事にしているか」ということです。例えば僕の事務所では、「クライアントに対する接し方」を厳しく指導しています。採用時にも細かく説明しています。「髪はこの色まで、派手な鞄はダメ」といったものです。それを「窮屈だ」と感じる人は申込を取り下げますがかまいません。人に合わせて事務所の価値観を変えていたら経営になりません。

「誰か人手が欲しい」という願いと「自分の会社の価値を広げたい」という願いはときに衝突するときがあります。そういうときに「どちらをとるか」に社長の姿勢が見事にでてきます。他の社員は、そういった社長の姿勢を後ろからじっと眺めています。大変な時期だからこそ採用には積極的に関与して自社の理念を共感してもらえる人を探してください。

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