クレーマーから「弁護士の知り合いが…」と言われてもあわてる必要なんてありません

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2017.06.24 クレーム対策

 自分で言うのもなんですけど「弁護士に相談」とか言われるとあまりいい気持ちはしないものです。弁護士に相談したからといって直ちに何かされるというわけではありません。それでも弁護士という言葉を耳にするだけも一般の人であれば「なにか面倒なことに巻き込まれるのではないか」と不安になるでしょう。これがクレーマーから言われるとなおさらです。でもクレーマーから弁護士という言葉がでてもあわてる必要はありません。

クレーマーの発言はたんなるプレッシャーです

 クレーマーのなかには,「知り合いに弁護士がいる」「弁護士はこちらの言い分があっている」などと言うときがあります。「法律がアドバイスしているなら」と一般の方であれば何となく不安になるものです。

 ですが冷静に考えて本当に知り合いの弁護士がいるのかわかりません。しかも弁護士が一方の意見だけで確定的なアドバイスをするというのも不自然なことです。たいていクレーマーは,弁護士からアドバイスを受けたとしても自分にとって都合の良いようにしか解釈していません。実際には弁護士のアドバイスとかけ離れたことを主張していることも珍しくありません。

 そもそもクレーマーは,弁護士に相談など通常しません。弁護士に相談しても「そんな要求は無理でしょう」と言われるのが関の山だからです。そのうえ弁護士に依頼すれば弁護士費用もかかります。そんなコストをかけて動くことをクレーマーは良しとしません。クレーマーにとって「弁護士」という言葉は単にプレッシャーを与えるだけのものです。

弁護士といえどもクレーマーの仕事はやりません

 「費用さえだせば弁護士はどんな仕事でもする」というのは間違いです。まして主張自体が無理なクレーマーの仕事は良識ある弁護士であれば対応しません。

 クレーマー的な人の仕事って本当に大変です。そもそも要求内容に無理なところがあるので法律構成を組み立てるのが難しいです。クレーマーは,たんに自分の意見を言うだけです。これに対してクレーマーの代理人になった弁護士はクレーマーの意見を法律で整理する必要があります。これはそれほど容易なことではありません。

 しかもクライアントであるクレーマーとの信頼関係を構築するのにも気を遣います。変なことをすればクレーマーの標的が自分になってしまう危険もあるからです。事件として受任したものの費用も支払ってもらえず批判の対象になったというのであれば笑えない話です。

 ですからクレーマーからの仕事は,弁護士としても避けるべきものでしょう。

 むしろ弁護士がついてくれた場合には,会社としてもありがたいです。何かあっても弁護士と冷静に議論することができるからです。クレーマーと直接やり取りをする必要がないというだけでもかなりのストレス軽減になります。

弁護士名を聞いてみましょう

 クレーマーから弁護士という言葉がでてきたら「どちらの弁護士さんですか。こちらから連絡させていただきます」と固有名詞を聞いてみましょう。たいていの場合には答えることができません。「そんなこと言う必要はない」と言われるだけです。

 そういうときには「弁護士名も回答できない状況で弁護士どうこう言われても対応に困ります」とあえて言いましょう。しだいにクレーマーとしても嘘を重ねていくことができなくなります。関連して「弁護士の方はどのような法律を根拠に要求できるとしたのですか」など聞いてみるのもひとつでしょう。

 ここでのポイントは,いくら質問してもクレーマーからは明確な回答は期待できないということです。そもそも弁護士に相談していないからです。こういう点を指摘すれば,「もういい」ということになります。

 できるだけ話を具体的にすることで相手の主張に根拠があるのか明確にしていきましょう。

 こちらのページでは,その他のクレーマー対応についても記載していますのでご覧ください。