クレーマーの特徴:クレーマーは,担当者を意図的に孤独にさせる

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.10.27 経営者の方々へ

交渉は,本来であれば対等な立場の当事者を前提にしています。それぞれが自分の主張を冷静に話し合うなかで問題解決の合意を見いだすプロセスといえるでしょう。先輩から「どんな交渉でも相手に誠実な態度を示すこと」と教わったことがあります。いろんな交渉を経験するなかで先輩のアドバイスを交渉の本質と日々感じています。

ですがクレーマーにとっては,「対等な交渉」というものは耐えられません。クレーマーの主張には,その根拠がなくて要求だけになります。対等な話し合いで根拠を求められるとつじつまがあいません。それでは自分の要求を相手に認めさせることができません。だからこそあえて「対等な交渉」というものを回避して内容に関係なく自分を優位なポジションに位置づけようとします。

ポイントは,内容に関係なくということです。内容に持ち込まれるとクレーマーにとって分が悪い。そこで内容に関係なく自分をいかに有利にしていくかということになります。

そのひとつの方法としては,交渉の相手を組織から切り分けて個人対個人という関係に持ち込むことです。クレーマーと言えども相手が組織だとなかなか思うように自分の主張を通すことができません。そこでクレーマーは,相手を組織から担当者個人の問題へとすり替えていくことがあります。すると本来であれば「クレーマー対組織」であるべきものが「クレーマー対個人」という構造になってしまいます。

〇 男だったら自分のミスは自分でなんとかしろ
〇 他の人に迷惑をかけるな
〇 これは個人の責任だろ

こういう言葉で担当者を個人から切り離して孤立化させます。あたりまえですが孤独は人間の精神を追い込みます。大きな声よりも「頼ることができない」という焦燥感が自分を追い込んでいくことがあります。そうなるとしだいに「クレーマーの言うように従えば楽になるのか」という気持ちにもなってきます。クレーマーにとっては,こうやって自分を優位に位置づけます。

こういったいびつな構造はいったん成立すると事後的に解消することが難しいです。「なんとかしなければ」と焦るほどによりいっそう強固な関係になってしまいます。残念ながら。。

だからこそ冷静になって欲しいわけです。あくまでクレーマーの問題は,会社として対応するべきことです。いくら個人のミスが原因であったとしても会社としてどのように対処するかという問題になります。仮にクレーマーから個人的な責任を追及されていても気にする必要はないです。むしろ早急に上司に事情を説明して担当者を変えてもらうなどの方策をとりましょう。

責任感の強い人ほど「自分で解決しなければ」と考えてしまいがちです。ですが自分で解決するべきこととするべきでないことがあります。クレーマーの問題は,会社で解決するべきことで担当者個人で解決するべきことではありません。会社が個人の責任にするのであれば,そんな無責任な会社で勤務し続ける必要もないでしょう。そういった割り切りが現実的には必要です。考えても仕方ないことで悩む方がもったいない。

クレーマーへの具体的な姿勢については,人気の記事「クレーマーにやってはいけない3つの姿勢」に書いたので参考にしてください。

より詳しい内容については,こちらの本に書いていますのでぜひいちどご覧ください。