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ハラスメント

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クレーマーを無視していい?弁護士が詳しく解説

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.12.21

「クレーマーであっても丁寧に説明すれば大丈夫」というのは必ずしも妥当ではない。実際のところは企業として丁重に対応すればするほどクレーマーからの要求が過剰になるということも珍しくない。弁護士として言えることは、あえてクレーマーに対応せず無視するというのも立派な対処方法だということだ。

クレーマーを無視せずに対応し続けて疲弊する

会社としては、いくら言いがかりのようなことであっても一応は顧客だから話を聞かないといけないというところから大抵はじまる。クレーマーは、根拠のあいまいなことを断定的にかつ繰り返し述べてくる。担当者へのアンケートをすると「いくら説明をしても理解してもらえず同じことを繰り返すことがつらかった」という声が多い。現場では声の大きさや言葉のきつさだけでなく同じことを繰り返すことへの虚無感も負担になっている。

結果が変わらないのに同じことを繰り返すというのは、ゴールのないレースのようなものであってある種の拷問だ。

基本的にクレーマーは、説明を聞いて自分が納得するということを想定していない。いつまでも顧客であることをかさに質問攻めにする傾向がある。会社としては、丁寧に説明すればわかってくれると性善説で立ち向かうもたいていの場合には失敗する。そして時間ばかりが経過することになる。

あるモンスターペアレントへの対応で相談にこられた教師の方がいらっしゃった。あるいじめについての事柄であったが教師サイドの見解を伝えてもまったく納得せずいたずらに教師と学校を責めるばかり。どうしたら納得してもらえるかという相談であった。こういう相談は少なくない。

弁護士と言えどもどう説明したら相手が納得するのかわかるはずがない。納得するかどうかなの個人の判断による。「ここまで説明したら納得する」という明確な基準はない。相手として納得する気がなければ、どれほど説明をしても「納得できない」と簡単にあしらわられて終わってしまう。

まじめで優しい人にこそ言いたい。人間できることとできないことがある。どれほど丁寧に対応しても相手に理解してもらえないこともある。まじめで優しい人ほど「わかってもらえないのは自分の説明がうまくないからだ」と誤解して悪循環に陥ってしまう。それは違う。

話を聞くにしても常識というものがある。丁寧に話を聞くにしても言われるがままに受け入れるのは意味が違う。話を聞くにしても常識の範囲がある。何度説明をしてもわかってもらえないならあきらめるのもひとつだ。

よく「あきらめたらいけない」と言われるが時と場合にある。あきらめないと自分自身を追い詰めることにもなりかねない。

クレーマー対応の重要ポイントは最小限のスタンスを決める

あるサービス業では、責任ある対応をするために懇切丁寧な報告書をクレーマーに送付した。時間と費用をかけて事実を確認してなっとくいくような報告書になっていた。会社としても「これでクレームもなくなるだろう」と高を括っていた。

結果としてどうなったか。報告書のあらゆるところに対して「説明を尽くしていない。説明をしろ」とさらに詰め寄られることになってしまった。想定外の反論に会社としても「これ以上の対応は無理だ」ということで相談となった。

クレーマーは、あらゆることに対して揚げ足をとって「説明責任を尽くしていない」と批判してくる。クレーマーにとっては、詳細な弁解がされるほどに指摘する対象増えて満足する。

僕の場合には、不当クレーマーへの回答は必要最小限のことしか記載しない。「これについては回答する必要がない」と回答することもある。依頼者からすれば、「こんな回答して大丈夫でしょうか。納得してもらえるでしょうか」と質問されることがある。もちろんクレーマーが納得することはない。それでいい。

細かい説明をすればするほどさらに質問がやってくるのが常だ。どんどん質問の対象が広がってしまい回答するだけで疲弊することがある。質問に対して回答するしないの自由は当然あるべきだ。

僕としては交渉がグダグダになることを回避するべく回答は書面で必要最小限のことしか記載しない。実際必要最小限ことだけ回答していたらたいていのクレーマーは諦めていく。慣れていない方に限って懇切丁寧に記載してさらに質問を受けてしまっていつまでも終わらないということになる。

クレーマー対策において無視することも時には重要

クレーマー対策でもっとも効果的なことは、無茶な要求する者については相手にしないことに尽きる。相手にするからこそ交渉が始まりクレーマーからの洗礼を受けることがある。

医師の応召義務などを除いて応答するべき義務など通常ない。クレーマーは、回答しなければ違法だとプレッシャーをかけてくることがあるが気にする必要もない。民間としてなんでもかんでも回答する義務があるわけではない。

多くのケースでは、クレーマーに対応しないことで不当要求を回避している。相手にするからこそ相手のペースに持ち込まれてしまうのが真実だ。

ある飲食店では、酔って自分が転倒しただけなのに設備が不十分だと言いがかりをつけて金銭的要求をしてきた。こちらとしては、「相手にする必要ない」というスタンスを決め込んだ。最初はクレーマーから電話などがあったが相手にしないことを決めてからクレーマーからの電話もなくなった。おそらく「ここは動かない」とクレーマーも考えたのであろう。

回答しないということは、それなりにストレスなものだ。「回答しなければまずいのではないか」という不安に襲われることもある。この不安を超えていかなければならない。

これまでの経験として相手にしなかったらしだいに相手からの請求もなくなってくる。同じ興奮状態をいつまでも維持することができないのであろう。

冷静さこそクレーマー対応の本質かもしれない。

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