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後継者・幹部育成

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経営者の代替わり。そのとき士業も変えるべきか

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2021.04.20

出版の営業活動的な目的も含めて事業承継についてのブログが続きます。ここまで営業活動に邁進する弁護士もそうはいないぞ。このブログに出会えただけでもあなたはきっと運に恵まれているはず。すくなくともそう信じてください。「社長、その事業承継のプランでは、会社がつぶれます」のなかでも触れているのですが事業承継を契機に顧問の士業を変えたいという相談は結構あります。「後継者にとって相談しやすい人に」というのはある意味では親心かもしれません。そこで今回は事業承継と士業の関わり方について本書で触れた概要を整理しておきます。

そもそもなぜ事業承継をきっかけに士業を変えたくなるのか

現実的な問題として事業承継をきっかけに士業を変えたいというのは、既存の士業に対する不満があるからです。なんとなく不満をもっていても「これまでのつきあいがあるから」と理由をつけて契約を維持するというケースは少なくありません。経営者にとっては、士業を変えるということの手間を考えると不満を抱きつつも顧問を維持するということになります。つまりはめんどくさいということです。めんどくさいのでなんとなくつきあってきたが事業承継で会社が変わるので「仕方ない。ここで変えておくか」と重い腰を動かすことになります。それに「代替わりをするから」といえば士業に対して契約解除を申し出ることへの「言い訳」がつけやすいというところもあります。経営者からは、「顧問税理士さんを変えたいのだがどう切り出したらいいだろう。トラブルになって会社の実情を吹聴されても困るし」と相談されることもあります。士業との契約は基本的に業務委託契約でしょうから通常はいつでも契約を解除することができるはずです。理由も特に必要ではないです。それに弁護士・税理士といった士業には守秘義務があるため契約が終了したからといって知り得た情報を外部に提示することはできません。そんなことが許された誰も信じることができなくなります。

いろんな経営者と話をするなかで士業に対する不満として多いのは、「先生本人に会えない(スタッフがすべて代行する)」「作業の代行ばかりで提案がない」といった類いのものです。経営者が士業に求めるものと士業が経営者に提供するサービスがあっていないということです。これはこれからの時代を士業が生きていくうえでもよく考えるべきことです。これまでは作業によって報酬を得ることができました。例えば帳簿をつけることなど典型的でしょう。こういった作業が直ちにITによってなくなるとはいいません。実際に技術が社会に浸透してスタンダードなものになるのは時間と受け入れ側の制度の確立が必要になるからです。ただしいつかは作業がAIなどに代行されて「人による」ことの意味が失われるはずです。そのときまで漫然と「今のままの作業」を継続していたらおそらく気が付いたときには提供するサービスがないということになりかねません。だからこそ「作業ではない何か」を提供できるように少しずつでも業務内容を変更させていく必要があるでしょう。僕自身も迷いながら「このままの延長ではないなにか」を模索している日々です。

例えば弁護士はわかりやすいですが業務大半がリスクコントロールになります。一定のリスクを計量的にとらえて顕在化した課題を解決していく。それは意味のあることですがいつまでも「リスク」という言葉に引っ張られてしまいます。これでは弁護士の業務範囲をどうしてもリスクと紐付けてイメージされてしまいます。「未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則」のなかでも少し触れられていますが弁護士の役割としては経営者が新しい事業を創造することをサポートするというものもあります。僕は、そういう仕事をこれからやっていきたいと考えています。いずれにしても士業に求められるのは、作業ではなく問題解決を中心としたコンサルティングになるのでしょう。

複雑化する労務環境には社労士さんと懇意にしておくべき

経営者が顧問として関わる士業としては、税理士・弁護士・社労士が主になってくるでしょう。それぞれの士業についての個人的な見解を述べておきます。

まず僕は、弁護士としての自分の役割を経営のコーディネーターとして位置付けています。経営者の抱える問題に対して必要な人員を集め方針を決めていくというものです。僕にとって最大の価値は人脈です。「この方であれば信用できる」というリストが脳内にあります。そのリストから事案の性質、経営者の特性などを考慮して必要な人員を手配していくことになります。僕は、自分の強みとして「自分でできない部分」を冷静に捉えていることを挙げています。自分としてできない部分があることを認識しているからこそどういった人材を確保するべきかを見定めています。なんでもかんでも自分の売上にするために「自分で」というスタンスがいいとは限りません。中途半端に関わるとかえってクライアントに迷惑をかけることになります。そんなことは自分の美学に反する。僕としては、「とりあえず島田に聞いてみよう」と思っていただけるような存在でありたいと考えています。弁護士という資格は、たんにあると便利だから持っているという程度です。

次に税理士。中小企業のDXの成功事例を見ていると会計処理のクラウド化がメインとなってくる気がします。請求書の発行・給与計算・仕訳といったものにできるだけ人員を割り付けずにかつタイムリーに会計情報を手に入れたいというのが経営者の切なる願いと言えるでしょう。こういったDXの取り組みについては、「売上が上がるバックオフィス最適化マップ ーーテレワーク・コスト減・利益増・DXを一気に実現する経営戦略」を最初に読むとイメージしやすいでしょう。そのうえでやはり税理士の方には、経営者に向けた個別のアドバイス・コンサルティングといったものが求められる気がします。この部分が欠落してしまうと「定期的にスタッフの人が来るだけ」という経営者の不満につながってきます。とくに事業承継においては、会社と個人の全体を見据えたうえでの財務提案が必要になります。「前期の決算はこれです。今期は頑張りましょう」では「どうやって頑張れと」ということになります。「単価について検討できませんか」などもう少し問題点を数字で提案してあげるようすれば顧客満足度もあがるのではないでしょうか。

最後に社労士。僕は、これからの中小企業は社労士の方を顧問にもっておくべきとアドバイスしています。これは労働事件を企業側で担当しているからこそ言えることです。労働事件は事件になった時点で経営者の負けみたいなものです。だからこそ日頃の労働環境の整備こそ重要になってきます。就業規則のアップデートもできていない状況で「裁判に勝て」と言われても。。。現実的に予防が大事と言わても弁護士としてもできることには限界があります。事務的なことはやはり社労士の先生方が詳しいです。労働規制は政治の影響を受けて変化しています。新しい制度を把握していなかったがゆえにトラブルになるケースもあります。経営者が変化する規制をすべて把握することなど現実的にできるわものではないです。だからこそ懇意にしている社労士の方をひとりでもいいので用意しておくとなにかと問題の回避につながります。時間と知恵を買うと言うことです。

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