規模より大事なものを目指していきます

みなさんこんにちは弁護士の島田直行です。いつも島田法律事務所のサービスを利用していただきありがとうございます。コロナの影響受けつつもみなさまのご協力のもとでなんとかやっております。さて今回からメールマガジンの内容を刷新させていただくことにしました。これまでさまざまな御意見をいただきましたが「島田個人としての考えを知りたい」という声が多かったです。ありがたいことです。そこで今回からは仕事を離れて「僕はこんな風に世界を見ている」ということをお伝えできればと考えています。リニューアルにともないこれまで懇意にさせていただいてる方も登録させていただきました。改めてよろしくお願いします。

リニューアルの初回は、この秋に僕が経営方針を大きく変えたことについてお伝えします。いきなり重たい話ですが大事な話なので読んでいただけると幸いです。

ご存知のように弁護士は過当競争のなかにあります。人口3万人に満たない下関市内でも僕が弁護士になったときの倍以上の弁護士がいます。弁護士の急増に比例して事件数が増加するということはありません。むしろ少子高齢化によって法人も個人も減少していき事件数も減少していくのが自然の摂理でしょう。そうなると弁護士としても「いかに事件を獲得するか」が重要になってきます。実際に「こうすれば事件数を確保できる」というセミナーがあります。結果として法律事務所も広告を積極的に展開するようになりました。みなさんも「法律事務所の広告が増えたな」と感じるでしょう。

最近の弁護士業界の潮流としては規模の拡大があります。規模を拡大することで広告を大々的に展開して市場占有率を高める。マーケティングとしてはセオリー通りなのかもしれません。正直なところ僕自身もずっと悩んでいました。「事務所を維持するためにはやはりもっと規模を拡大するべきか」と。迷いながら慣れない広告などにも手を広げてみました。

ですがやはり僕には無理でした。どうすれば規模が大きくなるかでいろいろ考えるのに疲れたというのが正直な気持ちでしょうか。

規模が大きくなると見栄えはよくなります。でも「判断のスピードが遅くなる」「本来の仕事ではない雑務が増える」ななどの弊害が増えて仕事の品質が劣化しがちです。なにより僕にとって耐えられなかったのは、クライアントの顔が見えなくなることです。収益性を中核に置くとどうしてもクライアントをひとつの記号としてとらえてしまうことになります。「どうすればもっと報酬をいただけるか」という視点で相手を俯瞰することになります。

それは決して僕が目指していた世界ではない。僕は、クライアントにしてもスタッフにしても顔の見えるひとりひとりのつながりこそ大事にしていきたいと考えています。それが楽しくてこの仕事をしているのです。自分の性格に合わないような経営をしても疲れるだけだとしみじみ感じました。

そんなわけで僕としては、あえて規模を求めない経営に舵取りを変えることにしました。「拡大を求めない」宣言も珍しいかもしれませんがなんとなく自分の性格に合っています。規模を求めず品質を求めていきたい。「もっといいもの」というのを事務所の新しいコンセプトにしようと思っています。なにより既存のクライアントとのつながりより深くぬくもりのあるものに育てていきたいです。新規のクライアントをむやみに開拓するのはもうやめます。僕には無理なことですし。クライアントとのつながりがあれば、自ずと新たなクライアントを紹介していただけるはずです。現時点においてすら新規案件のほぼすべてが他のクライアントからのご紹介です。まさにみなさんに助けられつつ成り立っている法律事務所であって感謝しかありません。

こういった経営スタイルは、ある意味では逆張りの方法と言えるでしょう。こんな宣言をすることには一抹の不安もありましたがやはり一度しかない人生ですから自分の求めるスタイルを貫こうと決心しました。ちなみに決心をしたひとつの要因としては、「ステイ・スモール 会社は「小さい」ほどうまくいく」という本の出会いもあります。たまたま書店で目にしたのですがまさに僕がモヤモヤ感じていたものをうまく整理してくれました。

リニューアル第1号にしてはとりとめのない文章になってしまいました。この情熱を少しでもお伝えしたくて書いてみました。「小さくても品質のよい法律事務所」と評価していただけるようにブラッシュアップしていきます。そのためにはみなさまのチカラが必要となります。事務所のためにチカラを貸していただけることを願っております。これからもよろしくお願いします。