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ハラスメント

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なぜ企業には情報開示が求められるのか

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.09.26

郵政グループが不正出金の対応が後手に回ったことが問題視されています。

とくに問題になっているのは、被害発生についての情報開示が後手に回っていることです。「問題が発覚したのであれば直ちに開示するのが企業の責任」というのは誰でもわかることです。問題の本質はわかっているのになぜできないのかということです。それをたんに組織が大きすぎるからと言う理由で片付けるわけにはいきません。これは中小企業でも同じです。むしろ中小企業のほうが「そんなこと開示したら被害が拡大するかもしれない」と情報開示に消極的な場合が多いような印象もあります。今回の出来事を他山の石として企業における情報開示の意味について考えてみましょう。

そもそも企業は、営利活動をする法人です。他者との競争して勝つためには、自社の情報が外部に漏れないようにすることが大事になります。商品や技術といったものから顧客名簿に至るまで。情報を独占することがいわば企業にとってのチカラであったといえます。だからこそ情報は「隠す」ということが基本的な姿勢になるのでしょう。ちなみに情報に関していえば、町の床屋さんはある意味で情報センターのようなものです。床屋ではみなさんたわない話を店主さんとします。店主さんは、そういったたわいない話を集めて自分の話のネタにします。だからこそ「あそこの店主さんはいろんな情報を持っているな」ということになり話も魅力的に聞こえます。床屋さんって実は技術だけではなくトークも含めた料金なんですよね。話を戻しましょう。

企業は、基本的に情報を隠すあるいは独占することを基本にします。ですから「開示する」ことにたいしてどうしても二の足を踏んでしまいます。とくに最近では、SNSによって誰しも簡単に不特定多数に対して意見を表明することができるようになりました。企業としても安易に開示することによって風評が一気に拡散することをどうしても意識してしまいます。これは中小企業のクレーム対応においても同じです。「要求を拒否したらネットで問題視されないでしょうか」というものです。ある経営者は、「ネットの書き込みはまるで人質とられたようなもの」と口にされておりました。経営者としてのまさに忌憚のない意見なのでしょう。

でも情報は隠されると「なぜ隠されるのか」という憶測が生まれます。しかも憶測は、いつのまにか事実を離れた風評を生み出していきます。気がつけば、まったく関係ない事情がまるで真実のように語られることになってしまいます。こういった「確固たる虚像」ができあがると「それは事実と異なる」といくら説明しても是正することが難しくなります。むしろ否定するほどに「真実だからこそやっきになって否定するのだ」という印象を周囲に与えてしまいます。

情報開示は、スピードが勝負のところがあります。これまでの個人的な経験として誰かから照会がくる前に積極的に企業が情報を開示すると意外と話が拡大することなく解決することが多いです。積極的に開示されると「自分で予想する」というプロセスが減らされるからでしょう。だからこそスピードなんですよね。今回の郵政グループのように周囲から指摘されたうえで開示するのはやはり時期として遅いといえるでしょう。

企業は、問題が発生した場合に「とりあえず事実を早急に開示する」という姿勢をとるべきだと考えます。こういった情報開示のニーズは、これからさらに中小企業にとっても増えてくるはずです。そういった場合を見越して「緊急な状況下においてどこまで情報開示するべきか」については平時から取り決めをしておくべきです。そういう状況下においていきなり決定するとしてもかなり難しいです。「とりあえず現状を守れ」ということになり結局のところ隠すという結論になるかもしれません。どこまで開示するべきかを決めるのが難しければせめて「誰が担当するのか」という担当者くらいは決めておくべきでしょう。

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