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ハラスメント

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やらせレビュー問題からみる人間の信用と疑念

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.09.16

商品を買う、食事に行く。あらゆる動詞のあとには、「そのために検索で評価を見よう」ということに続いてしまいがちだ。いったいいつから僕らは、これだれ他人の評価を意識して自分の行動を決めるようになってしまったのだろう。「自立した自分」を目指して教育を受けてきたはずなのに気がつけば誰かの評価を盲進して動くようになってしまった。なんとなくいやなものだ。

こういった傾向はやはりネットで不特定多数人が口コミを簡単に書けるようになったことの影響が大きい。根底には「自分だけ選択を失敗した」ということは回避したという意識があるのだろう。しかも不特定多数人の評価であれば、価値中立的で信用できるものと考えやすい。でも評価を盲目的に信頼することは危険なことだ。事実をフラットに見ることができなくなる。例えばレストランの味にしても本来であれば味の好みなんて自分の判断。それが「他人の評価が高いからおいしく感じる」ということになってしまいかねない。こうなってくると「食べることを楽しむ」ということが失われてしまう。こういった評価について興味深い記事を目にした。

やらせレビュー、社長が執念の追跡 一致した配送先住所

社会問題になっているやらせレビューを自力で特定したというものだ。こういったネット上の不当な行為を特定するのは簡単なことではない。評価は匿名でなされるのが一般的だ。しかも掲載業者も「あくまで個人の評価だから」ということで任意の開示にはなかなか応じてくれないだろう。ここに評価の難しさがある。評価された側としては、それが事実に反するものであっても反論をすることができない。いわば一方的に評価されるだけの立場に立たされてしまう。だからこそやらせレビューの被害を受けることになる。さりとてマイナスの評価をしたからといって個人が特定されると萎縮して本来の価値中立的な評価ができない。

今回の記事がたまたま「やらせ」であることがわかったからいい。実際には「やらせ」であることがわからない評価がたくさん埋もれているのであろう。たくさんの評価のなかに「やらせ」の評価が紛れ込むことで全体の信用性にも影響を及ぼしてしまう。「そういたやらせも評価の中に含まれている」とわかっていても僕らはやはりネットで評価を検索してしまう。

こういった「やらせ」を目にするとどうしても人間に対して疑念を抱いてしまう。そういった疑念は、いつか人間同士をギスギスしたものにしないかと不安だ。こういった行為を事後的に取り締まるというのは、正直なところ効果があまり期待できない。当事者としては、「それが誰かの迷惑になる」という意識がおそらくないのだろう。「スマホひとつで簡単に小遣いになれば」という程度の意識だと思う。悪意というものは周囲が想像するよりもたわいないものである場合が多い。たわいないものだからこそ広がって拡大した被害をうみだしてしまう。いくら規制を強めても新たな手法を生みだすだけになるだろう。

だからこそ発想を変えて「見る側」のレベルをあげていくことが不可欠だ。いわゆるメディアリテラシーといわれるものだ。「ネットのことで細かいこと言われても。リテラシーとか難しい話は」という人こそもっとも被害に遭いやすい。しかも自分が気がつかないときに加害者に加担していることすらある。

僕の周囲でもネットの評価でつらい思いをされている人がいる。書いているものには、誰かを傷つけるという意識がないのであろう。想像力の欠如としか言いようがない。ネットにおける根拠なき批判に対してなにもしないというのもひとつの戦略だ。こういう類いの人は反論すればするほどに過剰なことを書き連ねてくる。

自分の言葉が誰かを傷つけるのではないか。そういうちょっとした心がけが大事なんでしょうね。

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