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後継者・幹部育成

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労働問題は経営者の「聞くちから」によって違ってきます

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.05.21

労働問題が起きやすい会社と起きにくい会社がある。これは規模や業種に関係なく経営者の人となりや企業の文化によって違ってくる。労働問題を扱う弁護士としては、似たような会社でも明確な違いがでるのはなぜだろうと日々考えることばかりだ。これまで数百件の労働事件を担当してきたうえで感じるのは、「経営者の聞くちから」ではないかとととりあえず考えている。

はっきり言おう。しゃべることより聞くことのほうが難しい。優れた弁護士というと饒舌な人をイメージするかもしれないが実際には必ずしも話がうまいからといって優れているとは言えない。むしろ穏やかで口数少なくても「これは。うぬう」とこちらが参ってしまうような方もいらっしゃる。こういった傾向は、別に弁護士に限ったことではない。通常のビジネスパーソンにしても「この人と話をすると安心できる」という人がいる。そういう方はたいてい話を聞くのが抜群にうまい。

「はなす」というのは、あるいみでスタンドプレーで可能だ。自分の考えを自分の言葉で話す。それは知的な高揚感をともなうものでしだいに朗々と語る自分に酔ってしまうことになりがちだ。自分に酔ってしまうとたいていこけるのが日常。自分にフォーカスしてしまうのは、ときに自分の失敗の始まりのようなものだ。これに対して「きく」というのは、常に相手がいる。スタンドプレーで「きく」というのは想定できない。その意味では聞くことこそ人と人のコミュニケーションの原点といえるだろう。

「話を聞く」というのは、決してただ横にいて時間を過ごせばいいというものではない。適当に相づちを打てばいいというものでもない。相手の話す内容、雰囲気、行動をすべて考慮したうえでの対応となる。ものすごくハードルが高い。これは弁護士をしていてつくづく感じるところだ。誰しも「自分の秘密」というものをもっている。それは大きな秘密かもしれないし小さな秘密かもしれない。はっきりいって「秘密なんてなにもない」と平然と言えるような人は信じるに値しない。「そんな人いるわけないでしょ」と突っ込みたくなる。弁護士は、ときにそういった「話したくない」部分にも手を伸ばして聞き取らないといけない。人が話すのは、あくまで自分の考える真実であり事実。それが本当に客観性を持ったものであるかは表面的な話だけではわからない。だからこそ「より深い部分」を聞き取るようにしないといけない。

「この弁護士はすごい」と感じる方は、そういったクライアントの内面を引きだすのが上手。話す側もストレスなく言いにくいことを語ることができる。信用とか信頼とかいった抽象的なものではなくひとつの技術なんだろう。「そういう弁護士になりたいな」と憧れるものの自分はまだまだ。ついクライアントから一部を聞いてすべてのストーリーを自分なりに描いてしまいがちだ。それではなかなか話しやすい雰囲気にはならないだろう。

これは経営者に言える。経営者はたいてい忙しい。忙しいから相手の考えていることを推測して結論をすぐにだしてしまいがちだ。経営者としては「スピードをもって対応した」とまんぞくできるかもしれないが社員としては「話を聞いてもらえない」という不満になってしまう。そういった不満が経営者への不信になり労働問題になっていく。だからこそひと呼吸を置いて「聞く」ということに注力する必要がある。

聞くことは技術。最初に抑えるべきことは「否定しないこと」につきる。「それは違う」と結論づけるのは簡単だし合理的ではある。さりとて人は合理性のなかで生きているわけではない。面子というものがある。自分の意見を否定されていい気がするような人はまずいない。経営者だからと言って社員の意見を一方的に否定するべきではない。否定をするにしても言い方というものがある。「社員だからはっきり言っていい」というのは理由にならない。

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