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これはまずい。クレーム対応でしてはいけない3つのポイント

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.02.08

僕は、ブログなどでクレーム対応のノウハウなどをいろいろ書いています。そのうえ本も出版させてもらっています。こういった活動をしていると「島田はなんでもクレーマー扱いにする」という根拠なき批判を受けることもあります。これって大きな誤解です。商品やサービスを提供すれば、どうしてもクレームを受けることはあります。たいはんのクレームは、根拠があるものですし企業としても真摯に対応して問題には対応しなくてはなりません。僕が前提にしているのは、そういった一般的なクレームではなくあきらかに程度を越えたものです。

僕なんて基本的に「まぁうまくやっていきましょうよ。喧嘩してもみんなしんどいだけだし」というスタンスです。弁護士として言うのもなんですが、できれば争いごとは避けたいものです。仮に争いがあったとしても裁判ではなく話し合いで終えたいといつも願っています。(これは決して裁判が嫌いという趣旨ではないのであしからず)クレーム対応についても然りです。「これは批判を受けても仕方ないな」というものについては、きちんと話を聞いて解決することをアドバイスしています。

こういったクレームの対応がうまくいくかどうかは、会社の初動によって決まります。クレーム対応が上手な方は、最初のアプローチの仕方からして上手です。逆に苦手な方は、「なんとなく」のクレーム対応をしてしまい相手の感情を逆なでしまい問題の解決になかなか至りません。初動がすべてといっても過言ではないかもしれません。

あくまで個人的な感想ですが「ずっと興奮して言い続ける」という人はあまりいません。人間の感情というのは、それほど長く維持できるものではありません。とくに怒りといった強い感情は、だいたいもって6秒と聞いたこともあります。6秒耐えたら冷静になるようです。6秒かどうかは人によって違うでしょうが興奮した感情を維持し続けることができないのはたしかでしょう。感情的なクレームにしても冷静に話を聞いていけばしだいに収束していくことが一般的です。

ですがなかには会社側の対応がさらに相手の感情を刺激してよりクレームを深刻化させることもあります。クレーム対応のあり方がさらなるクレームをうみだすという悪循環です。こうなってくると相手としても怒り心頭でより感情的になってしまい相互に冷静さを失ってしまうことになりかねません。ある意味では会社が新たなクレームを生み続けるようなものです。

今回は「これをすると相手をより刺激するからやめたほうがいいよ」というクレーム対応のポイントをいくつかご紹介しましょう。あくまで実践から学んだことですが。

クレーム対応でしてはいけないポイント①:いきなり相手の意見を否定する

クレームの中には、明らかに事実に反することもあります。会社としては、「それは違います」と回答したくもなるでしょう。ですがいきなり相手の意見を否定することはクレームを深刻化させるだけでなんら得策ではありません。

あたりまえですが人は、根本的に「自分は正しい」という意識をもっています。それがいきなり否定されたら誰しもいい気持ちはしません。クレーム内容が間違っているときに「それはあなたの誤解です。間違っていますよ」と指摘されると仮に事実だとしても自分の愚かさを指摘されたような気分になるでしょう。

よくセミナーでも言うのですが、人は論理で動くことはありません。むしろ杓子定規に論理だけを声高に述べると相手の顔に泥塗るだけでよりいっそう対立関係を強めることになることも珍しくありません。弁護士は、とかく論理だけで交渉をしているように誤解されます。論理だけで交渉がうまくいくのであれば、よほど人工知能の方が的確に問題を解決できるでしょう。ですがみなさんも自分が誰かとトラブルになったときに人工知能で自動的に判断され瞬時に「あなたが間違っています」と指摘されて納得できるでしょうか。おそらく頭ではわかっても心して受け入れることができないでしょう。判断というのは多分に感情を含めています。

ですからクレーム対応の際に最初にやるべきことは相手の意見を否定するのではなく「聞く」ことです。せめて20分くらいは相手の話をひたすら聞いた方がいいです。「聞いてもらえた」というだけで人間の欲求が満たされることがよくあることです。感情的になっている人ほど聞いてもらえたことによる満足感は高い印象です。

ただ「聞く」というのはかなりの技術が必要です。「話す」ことより「聞く」ことの方がスキルと忍耐を要します。仕事のできる人ほど「自分が話せばうまくいく」と考えてクレーム対応に失敗してしまいがちです。聞くさいには、相手の意見を否定も肯定もせず相づちを打つなど「聞いている」ということが相手に伝わるような仕草が必要です。


クレーム対応でしてはいけないポイント②:謝罪しないスタンスで相手と接する

自動車事故などの場合で「謝罪したら自分の過失を認めたことになる」と考える方がいますが、それは誤解です。日本人は、相手に迷惑をかけたと感じたらとりあえずお詫びをするものです。「すみません。大丈夫ですか」と声をかけるからこ冷静に話ができるようにもなりません。いきなり「僕は問題ありませんから謝罪なんてしません」と口にしたら、それこそ感情的な争いになります。

裁判にしても然りです。バタバタした状況でとりあえず「申し訳ない」といったからといって当然に自分の過失を認めたというような粗雑な認定はされません。そんなことが認められたら気が優しい人ばかりが責任を押しつけさせられてしまって世の中が荒廃した世界になります。誰も怖くて「すみません」と口にすることができなくなるでしょう。

クレーム対応にしても然り。「謝罪したら負けだ」と考えていっさい謝罪しないというのは、それはそれで交渉として下手です。「なぜ謝罪がないのか」ということでさらに非難されてしまうのがオチです。

謝罪というのは、不思議な効用があって相手をなぜか冷静にさせるところがあります。おそらく謝罪している人にさらに攻撃するのは倫理的に間違っているという心理的な機能がどこかにあるのでしょう。「弱者をさらに追い込んでいるかもしれない」という自制心のようなものです。人間の発言を止めることができるのは、こういった自制心しかありません。自制心に働いてもらうために謝罪についてはしたほうがいいです。

問題は何に対して謝罪をするかです。とくにこちらに問題がないような場合に謝罪をどうやってするかはなかなか難しいでしょう。そういうときにはあえて「ぼんやりとした事実」について謝罪をすればいいです。例えば「電話にでるのが遅くなり申し訳ないです」「原因は何であれば不快な思いをさせて申し訳ありません」など。

どれも具体的なクレームの事実に関するものではないです。そこが大事です。人は、謝罪の内容よりも謝罪があったということが大事です。あまり謝罪の内容にはこだわりを持っていません。ですからとりあえず抽象的な事実をあげて謝罪した方がスムーズに話をすることができるものです。


クレーム対応でしてはいけないポイント③: できない理由を整然と語る

不当な要求は断固する。というのは当然のことです。「とりあえずこれで終わるなら」とクレーム対応していたらずるずる関係が維持されるだけです。

ですが本来のクレームについてもたんに「これはできない」という述べるだけでは問題の解決にはなりません。こちら側にも問題があればやはりできる範囲ので対応をしていかなければならないです。

交渉一般に言えることですが、交渉=勝負というようにとらえるとたいていうまくいきません。「いかにして相手の主張を叩きのめすか」というスタンスでは対立関係がさらに深くなってしまい物事が進まなくなります。なかにはそういった闘争が好きな人もいます。そういった方は周囲からすれば力強く感じられます。ですが長期的スパンでみたときに本当に勝っているのかと言えばどうなんでしょうか。誰かをコテンパにすることによって何かを失ってしまうこともあります。

ビジネスの交渉の目的は、当事者間にある課題について解決することでしょう。対立して相手を打ち負かすことが目的ではないはずです。まずこの点をしっかり理解しておかなければなりません。クレームについては相手の要求していることと会社としてできることに相違があれば、両者のバランスをいかに取るかについて合意形成をするのことが交渉の意味です。

ですから会社としてもたんにできない理由をひたすら述べるだけでは交渉にはなりません。「問題を解決させる意思がないのか」という印象を与えることにもなります。こういうときには「会社としてできません。ですが問題を解決していかなければなりません。なにか会社としてできることはありませんか」とあえて相手方にボールを投げるのが有効です。

つまるところいくら会社で提案しても相手が了承しないと合意になりません。それであれば相手にボールを投げて提案してもらった方がいいです。提案を求める場合には、「会社としてはこれができない。私としては対応ができないので助けてほしい」というスタンスで臨むといいです。こうすることで私たちは、対立する関係ではなくひとつの課題に対してともに取り組んでいる同じような立場にあると印象づけることができます。

とりあえずやってはいけないことを整理してみました。みなさんも書道が大事ですから参考にしてみてください。

参考:クレーマーにやってはいけない3つの姿勢

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