誰かの話を聞くということ
弁護士:島田 直行
投稿日:2026.10.03
昨日は福岡市内で、日頃からお世話になっている方々との勉強会と食事会だった。勉強会の内容そのものはここでは割愛するが、これからの事業をどう進めていくのか、自分たちはどこに力を入れていくべきなのかを考えるうえで、とても参考になる時間であった。普段から考えていることでも、誰かに話してみることで整理されることがある。逆に、自分では気づいていなかった視点を他の人から指摘されて、なるほどと思うこともある。そういうやり取りができるのは、やはり大きい。
最近はオンラインでの打ち合わせも当たり前になった。移動する必要もなく、短時間で多くの人と話すことができるので、本当に便利である。僕自身も仕事ではかなり活用している。ただ、やはり実際に会って、同じ場所で話をすることには、それとは違う良さがあると思う。ちょっとした表情や間の取り方、その場の空気感のようなものは、画面越しではなかなか伝わらない。食事をしながら話していると、会議では出てこないような本音が出てくることもある。
特に勉強になるのは、自分の意見を口に出してみることである。セミナーでは、どうしても話を聞いて終わりになりがちである。もちろん、それも勉強になる。ただ、知識を受け取ることと、自分の考えをつくることは少し違う。自分なりに考え、それを言葉にし、他の人にぶつけてみる。そこで「それは少し違うのではないか」と言われたり、「こういう考え方もある」と別の視点をもらったりする。そうしたやり取りを通して、初めて自分の考えが磨かれていくのだと思う。
そのときに大事になるのが、「人の意見を聞く力」である。これは簡単そうで、意外と難しい。僕たちは自分と違う意見を聞くと、すぐに反論したくなる。特に、自分なりに考えてきたことであればあるほど、なおさらである。しかし、相手の意見を聞くというのは、相手に同意することではない。まずは「なぜこの人はそう考えるのだろう」と一度受け止めてみることである。そのうえで、自分の意見との違いを考えればいい。
もちろん、批判がいけないわけではない。むしろ、率直に意見を言い合える関係は大事である。ただ、批判は前向きなものにつながっていかなければ意味がない。単に「それは違う」「その考えはおかしい」と否定するだけでは、何も生まれない。「そういう考えもある。ただ、こういう見方もある。では、どうすればもっと良くなるのだろう」と一緒に考える。そこまで含めて初めて、建設的な議論になるのだと思う。
僕は、チームを組んで何かをしていくのが好きである。一人で全部をやるよりも、それぞれが得意なところを持ち寄って、一つのものをつくっていく方が面白い。ただ、チームというのは、仲がいいだけでは成り立たない。それぞれが自分の能力を伸ばし、自分の役割を理解し、きちんと責任を果たす必要がある。その土台があったうえで、お互いの違いを認め、意見を出し合うからこそ、チームとして力が出る。
この「責任を果たす」ということは、これからAIが当たり前になっていくほど、むしろ重要になるのではないかと思っている。AIは多くのことを手伝ってくれる。資料も作れるし、文章も書けるし、考えを整理することもできる。しかし、最後に何を選ぶのか、何を決めるのか、その結果に誰が責任を持つのかという部分まで、AIに任せることはできない。
便利な道具が増えれば増えるほど、人間には「自分で考えること」が求められるのではないだろうか。人の話を聞き、自分の頭で考え、必要であれば意見を変える。そして最後は、自分で判断して責任を持つ。そういう力は、これからますます大事になると思う。
そんなことを考えながら過ごした福岡の一日だった。福岡はやはりいい。食べ物はおいしいし、街もコンパクトで動きやすい。久しぶりの秋の福岡だったが、本当に楽しい時間になった。何を学ぶかも大事だが、誰と話し、どう考えるかも同じくらい大事である。これからも、こういう機会は大切にしていきたいと思う。
CONTACT
お困りごとは、島田法律事務所で
解決しませんか?
お急ぎの方はお電話でお問い合わせください。
オンライン相談をZoomでも対応しています。
083-250-7881
[9:00〜17:30(土日祝日除く)]