一日の流れ

事務所の一日の動き

 「法律事務所で勤務してみたい」と考えてもなかなか一般の方にはイメージできないでしょう。法律事務所といっても何ら他の事務と違うわけではありません。事務所では,「あたりまえのことをあたりまえに」という方針で仕事をしています。実際どういう動きをしているのかを簡単にまとめてみました。イメージ作りの参考にしてください。

8:10 マイカーなどで出勤

 事務所では,マイカー通勤が認められています。下関では,やはり自動車がなければ動きにくいところがあります。駐車場については,事務所で用意していますので自己負担の必要はありません。お子さんが急に発熱で学校から連絡という場合でもすぐに対応できます。マイカー通勤の場合には,自動車保険証の写しを提供してもらっています。ガソリン代は事務所基準でお支払いしています。
 マイカーを持っていない方は公共交通機関で出勤しています。この場合には実費を負担しています。
 出勤時には弁護士,スタッフのみんなで「おはようございます」と元気に声かけするようにしています。「そんなあいさつなんて恥ずかしい」と感じるなら事務所にはあいません。あいさつは,仕事における基本中の基本。きちんとしたあいさつを社内でも徹底することが仕事をクオリティのみならずコミュニケーションのはじまりと位置づけています。

8:15~8:30 みんなで腕まくりして掃除    

 事務所では,毎朝15分間の掃除をしています。これは弁護士を含めたすべてのスタッフが担当しています。みんなで毎日やり続けることに意味があると考えています。
 事務所にとっては,掃除とは不要なものを廃棄して必要なものを用意するという生産的な活動です。毎日やっているので汚れといってもわずかなものです。ですがわずかなものを徹底するからこそ日々のちょっとした変化にも気がつくことができます。
 掃除といってもただ決められたことを決められたようにするだけではありません。「もうちょっと効率的に仕事ができないか」という視点で工夫しています。こういった工夫の集積が事務所の価値につながっていくものと確信しています。
 物が整理されているというのもひとつの価値です。あるスタッフは,事務所が整理されているから入社を決めたとのことです。

8:30~9:00 やるべきことを共有するためのミーティング

 事務所では,弁護士1名,スタッフ2名の開業当時から欠かさず朝のミーティングを継続しています。なんだかんだで2000回は超えているでしょう。開業当時は事件もまったくなかったのですが「事件がなくなってもやろう」と決意して現在に至ります。
 朝礼では,当日の各スタッフの動きと事件の進捗状況を確認しています。ミーティングの目的は,現状の把握と共有にあります。他のスタッフがなにを担当しているか大まかにでも把握しておけば突発的なできごとにも対応できます。例えば午後から急に帰宅しなければならなくなっても他のスタッフがスケジュールをフォローしてくれます。進捗が予定を遅れている案件については,原因の共有と対策も検討していきます。
 情報を共有するって簡単なことではありません。想像するよりも手間暇のかかるものなんです。だからこそ地道に毎朝のミーティングを維持する必要があります。とくに新人の方については,担当事件のフォローについてもスタッフに指示をしています。
 毎朝みんなが顔を実際に合わせるというのは,大事な習慣です。チャットやメールは便利な道具ですが人のつながりは道具だけで維持できるものではありません。やっぱり顔を合わせてちょっとした会話をすることが必要です。
 朝礼のなかでは「子どもの体調が悪いため早退するかも」「明日,急な用事でできてしまい」などイレギュラーな出来事についても報告してもらって対応を決めていきます。

9:00 打ち合わせや法廷など

 朝礼が終了すると各自が自分の業務をスタートさせます。弁護士の場合には,期日への出廷や依頼者との打ち合わせなどを実施します。スタッフの場合には,相談の受付などをします。勤務したての頃は右も左もわからなくてあたりまえです。まずは先輩の横について「何がどう展開していくのか」を学んでいただくことになります。仕事のノウハウは,いくら座学で学んでも実際に自分で担当しないとわかりません。責任を感じるからこそ学びになります。そのため新人の方には,シンプルな事件から担当してもらいながらスキルをアップしてもらいます。
 事務所では,緊急を要するような事案を持ち込まれることもあります。こういうときには弁護士とスタッフがミーティングを随時しながらスケジュールの調整を実行していきます。優先順位の決定の仕方はスタッフではなかなかわからないところもあります。弁護士と協議のうえで具体的な手順を決めていきます。
 午前中にはできるだけ事件解決のイメージなどクリエイティブな業務に時間を費やすようにしています。集中していると「もうお昼!」と唖然とすることもよくあります。

11:00~ 相談者

 相談者が来所された場合には,駐車場の案内からはじまります。事務所は少し離れた場所に駐車場があるため電話で「どこに駐車場があるのでしょう」という質問をよく受けます。
 相談室への案内及びお茶の手配はすべてスタッフが実施します。必要に応じて資料のコピーなどをしてもらいます。
 ここで大事なのは,来所される方はみなさん何がしかの悩みを抱いておられるということです。この点が他の業種との大きな違いです。「新しい洋服を買いましょう」といったうきうきした気持ちで法律事務所のドアをノックされる方はいません。落ち込んだり迷ったり不安になったり。そういう弱い立場の方へ共感できる方でないと事務所での勤務は難しいでしょう。

12:00~13:45 できるだけみんなで昼ご飯

 休憩時間は,弁護士を含めてみんなで昼ご飯を食べることが多いです。ざっくばらんな話をしながらスタッフみんなの状況を把握するようにしています。信頼関係を築くためには,こういった時間こそ大事です。「どうせ食事をするならみんなで食べましょう」という極めてシンプルな発想のもとでがんばっています。
 事務所では,たまにみんなで外のランチに行くこともあります。たまには雰囲気を変えて食事をしようというものです。おいしいものを食べれば,自然とうれしくなるものです。そういうときに日頃悩んでいることや不安に感じていることなどを聞くようにしています。
 所長は,「太りがちだから気をつけないといけない」と言いつつ好物のラーメンを容赦なく食べて自暴自棄になることが多いです。

13:00 事務所内のミーティングなど

 午後も基本的には午前の業務の続きとなります。弁護士は,午後にまとまった時間を予め確保して起案などをしています。重厚な書面を作成するためには,どうしてもまとまった時間を要するからです。散発的な時間の場合にはできあがったものもバラバラなものになりがちです。
 またスタッフは,弁護士の作成した書面の誤字やレイアウトのチェックもします。「弁護士の書面なんてわからない」と不安になる必要はありません。スタッフでさえ読解できないような文章であれば,それを書いた弁護士のスキルが未熟ということです。難解な事情をわかりやすく書面にすることが弁護士に求められるスキルです。誤字などをチェックする能力は,スタッフのスキルのなかでもとくに必要です。とかくせっかちな人はチェックが苦手です。誤字などのチェックといった地道な作業にて移行がある方は,申し込みを避けた方がいいでしょう。
 午後には事務所内の勉強会やミーティングが開催されることもあります。事務所では,弁護士によるスタッフの研修を定期的に開催します。研修をしたからといっていきなりスタッフのレベルがあがることはありません。ですが座学の時間を勤務時間中に確保しておくことは長期的な成長のためには必要不可欠です。「自分の仕事はどのような役割なのか」がわからないと仕事が面白くありません。勉強には,自分の担当している仕事の面白さを理解してもらうという目的もあります。

14:30~ 裁判所への資料持参

 スタッフは,裁判所へ資料を持参することもあります。ケースによっては急いで提出しないといけないものもあります。
 その他の外回りとしては,法務局,郵便局,市役所などがあります。法律事務所のスタッフとして各所をまわりながら事務処理を進めていきます。移動は徒歩,自転車あるいは自動車などです。
 いっけんすればルーティンな業務のように思えるかもしれませんがルーティンなものこそ「もっと改善できないか」という視点でいつも考えるようにしています。事務所全体として無駄がないように外出の際には他のスタッフにも声掛けするようにしています。

18:00頃 自分の時間を大事にするため早く帰ろう

 事務所では,自分の時間を大事にして欲しいのでできるだけ定時である午後5時には帰宅するよう推奨しています。どうしても残業をしなければ終わらない場合には,午後6時まで認めています。帰宅して家族と過ごすのもよし,自分の勉強をするのでもよし。ひたすら事務所の仕事をすることがいいことではありません。
 「他の人が帰宅していないから帰りにくい」ということもありません。そういった配慮は誰も幸せにしませんしかえって相手にも負担になります。むしろ本当に大変なときにサポートするというくらいの緩やかな関係が大事です。
 退社するときには,机の上にはなにもないようにしてもらいます。自分で利用したものはめんどくさくても整理棚に戻してから退社となります。「最初の状態に戻しておく」ことで明日もまた新たな気持ちで取り組むことができます。

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